ASDタイプの子の子育てにおいて、親の重要ミッションは2つあると思っています。
2つのミッションのうち、今回は その2 について綴ります。
その1 ASDタイプの子を独りで戦わせないこと ~外の世界にも理解者をつくる~
その2 親がASDタイプの子に合った接し方ができる自分に進化すること
ASDタイプの子に合わせた接し方ができる親になることがマスト
ASDタイプの子どもにしてあげられるサポートとして、大きくは2つ、療育と環境調整があげられると思います。
このうち、後者の環境調整というのは、たとえば視覚的な情報処理のほうがスムーズな子のために、1日のタスク(やるべきこと)がわかるイラスト入りのカードをつくってあげるような、生活しやすい環境に調整してあげるものです。
この環境調整の中でもっとも重要なのは、わたしが、ASDタイプの我が子に適応した母に進化することだとちゃんと自覚したのは、実はつい先日のことでした。
息子にとっていちばん重要な環境って、母であるわたしじゃないか! ※我が家の場合、母が子育てのメイン担当になっています。
と。当たり前のことなのですが、自覚が足りていませんでした。
息子が障がいをもっているというより、特性について無理解なことで、わたしが彼にとっての障害物になってしまうのだと今更ながら再認識したのです。
ASDタイプの子どもは、ひとりでいれば、特に困難もトラブルもありません。
他者と時空間をともにして、関わりを持ったときにはじめて困難やトラブルの “可能性” が生じます。
“可能性” と強調したのは、もし、その接し方が好意的で穏やかなものだったら、問題は生じにくいからです。
では、どんな接し方だと、調整が必要なのでしょうか?
残念なことにこれからご紹介するのはわたしの例で、わたしは接し方を改める必要がありすぎる母でした。
ASDタイプ向けに、接し方の進化が必要だったわたしの【実例】
わたしの以下のような特徴は、息子のこころ穏やかな生活や、健やかな成長を阻害する可能性があり、幼稚園の先生のような優しい雰囲気の母に進化する必要がありました。
ASDタイプ向けでないわたしの接し方【実例】
新しいことを学んだり、挑戦したりすることは、変化が得意ではないASDタイプの子にはそもそもハードルの高いことなので、楽しい働きかけが必須です。
ところがわたしの以下のような好ましくない特徴や接し方により、導入の段階で拒絶反応を示されてしまい、挑戦にも学びにも至らないということが我が家では繰り返されていました。
無駄な衝突を繰り返し、息子の大切な学びの機会を潰してしまっていたということです。
教わっていないことに対応することが難しいASDタイプの子から学びの機会を奪ってしまうのは、本来、親としては極力避けるべき事態でした。
好ましくない働きかけ | 息子への影響 |
---|---|
めちゃくちゃ早口 | ⇒ APD(聴覚情報処理障害)的な特性もある息子には、情報のキャッチも処理も難しくなり、つらい思いしかさせない。 |
せっかち (効率的にパパッとなんでもこなしたいタイプ。自然と人にもそれを求めてしまう) | ⇒ 矢継ぎ早に指示出しされると、情報を処理できずにパニックになる。 |
口調が淡々としていて、印象がキツイ (悪気はないのですが) | ⇒ 好意的ではない(批判的・攻撃的な)相手の雰囲気には敏感なので、防御態勢に入ってしまう。防御が転じて攻撃になることも。 |
体育会系ノリ (空気を読んで動くことを良しとする) | ⇒ 親子関係を上下関係とするような、THE日本的な、空気を読んで自ら考えることを良しとするような関わり方だと、自分がすべきことを判断できずに混乱させるだけで終わってしまう。 |
ASDタイプ向けの接し方【理想】
改善例 | 改善例(具体) |
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ゆっくりと丁寧に説明する。 | ひとつ指示したら、それができたことを確認してから、次の指示をする。 |
雰囲気だけでなく、言葉遣いや指示の内容(言葉選び)もやさしく。 | BAD) いい加減●●やりなさい! ↓ GOOD) 区切りのいいところで●●をやろうね。 ※皮肉や批判を込めない言葉通りの雰囲気で |
なるべく具体的に詳しく、でも率直な表現で話す。 例えない。含みを持たせない。 | BAD) 何度言われたらわかるの? これは最悪な働きかけランキングの上位にランクインすること間違いなしのセリフです。質問文の形をとった攻撃的なセリフ。質問の答えを出そうと必死で考えてしまいます。(字義通りに受け取る特性のため) ↓ GOOD) お母さんはルールを守ってほしいよ。ゲームより宿題が先というルールだから、まず宿題をやろう。その次にゲームをやろう。 ※ルールを守ることには忠実です(事前にルールを明確にしてあることが前提)。 |
ASDタイプは、経験上、ピュアで素直な子が多いと思います。だから、こちらが好ましい方法で関われば、その効果は絶大です。良い笑顔、良い返事でスムーズに取り組んでくれると思います。
教えたことを習得したり、やるべきことをやり遂げたり、日々積み上げるべき子どもの貴重な学びの機会を、こちらの投げかけの「トーン」や「あり方」で台無しにしてしまうことがないようにするために、改革は絶対的に必要でした。
まだまだこなせていませんが、穏やかで寛容で親切な母になれるように、自分を省みながら日々奮闘しています。
まとめ 丁寧で優しい接し方を常に心がける
~親の照れより、子どもの学び~
小学生高学年や中学生の子に、幼稚園の先生のように優しい言い方なんて、なんだか照れくさいような、甘やかしているような感覚を覚えて抵抗があると思いますが、息子が学びの機会を積み上げることのほうが重要であることに疑う余地はありません。
わたしと同じように体育会系な性をお持ちの親御さん、お子さんのためにと共にがんばりましょう。
新しい自分にもすぐ慣れますよ!
これまでの子育ての学びや気付きをこのブログでご紹介することで、同じ境遇の方のお役に立てたらうれしいです。