ASDタイプに…教えるポイント、分かりにくくてゴメンなさい!リライトしました!
ASD特性

【ASD特性例】“探し物”が苦手…のワケと対策

ASDの息子と噛み合わずに困惑と衝突を繰り返す日々でしたが、特性を理解し、きちんとサポートできる母になりたくて奮闘してきました。
これまでの子育ての学びや気付きをこのブログでご紹介することで、同じ境遇の方のお役に立てたらうれしいです。

ASDタイプの人には、探している対象が壁紙の模様のように、周囲と一体化して見えると聞いたことがあります。我が家でも、ASDタイプの息子、夫は探し物が本当に苦手で、傍で見ていてその苦手感がよく伝わってきます。

今回は、探し物が苦手という特性をわたしがどんなふうに理解し、そしてフォローしているかを、なるべく分かりやすくお伝えしていきたいと思います。

ASDタイプは“探し物”が苦手 ~手を使わない傾向あり~

わたしは、物を探す方法を誰かから具体的に教わった記憶がありません。おそらく感覚的、経験的に習得していく類のスキルなのだと思います。
でも、ASDタイプには経験的にスキルを習得するのは難しい課題ですので、物の探し方を教えなくてはいけませんが…教わったことのないことを、はてさて、どう教えるべきか?

以前放送されていたドラマ “ゴシップ” の凛々子さん(ASDタイプ)に倣って、辞書で「さがす」を調べてみました。
コトバンク デジタル大辞泉「捜す」の解説を見ると、以下のようにあります。

[動サ五(四)]見つけ出そうとして方々を見たり、歩きまわったり、人に聞いたりする。尋ね求める。「職を—・す」「落とし主を—・す」「あらを—・す」
[可能]さがせる
[補説]ふつう、見えなくなったものをさがす場合には「捜」、欲しいものをさがす場合には「探」を用いる

引用元:コトバンク デジタル大辞泉

さすがASDさん!!と思ってしまいました。
なぜなら言葉の定義通りに本当に忠実に実行していたからです。

※今回のテーマの「さがす」は、正しくは「捜す」のようですが、一般的に「探す」を用いる方が多いように思いますので、後者を用いて進めさせていただきます。

確かに息子の「探す」とは、まさに「見る」「歩き回る」「母に聞く」この3つのことです。
文字通り、それ以外には何もしません。

どういうことかというと、「目」「足」「口」この3つしか使わないということです。
なぜ「手」を使わない????!…手を使わないので横柄で雑な印象を受けます。
見つけたいと言って、イライラしているのに、本気で探してる感じがしない
なんだか探しているポーズのように見えてしまい、心象としては、あまり好感が持てません。
その挙句、迷わず「母に聞く」を選択されると、なんだか丸投げされた感があって

「毎日毎日なぜ同じことを繰り返す!?失くし物で人を巻き込まないで!」と心の底から叫びたくなります(いや、正直叫ぶこともしばしば)。

以下、ASDご本人向けの記事ですが…、探し物をしているときに暗黙の了解が通じないがゆえの、困り事の例をご紹介しています。

学び取れないのですから、きちんと教えてあげる必要があります。
次に、我が家ではどういうふうに、「探す」をフォローしているのかの具体例をご紹介します。

探し物が苦手なご本人のための記事もよかったらご参照ください。

手を使う探し方を教える

目しか使わない「探す」は、今あるままを眺めるという感じなので、そうではない手を使った探し方のパターンを具体的に例示しました。
あと、我が子特有のありがちな失くし場所パターンも示します(下図参照)。

例)手を使った探し方
  • 物をどかして覗き見る
  • バッグの中を出して見る
  • ポケットの中味を出して見る

探し物が発生しやすい朝の時間帯は、こちらも余裕がない時間帯でヒートアップしやすいので、事前に準備しておくことをオススメします。

予め書いたものを用意しておいて、朝は都度対応しなくて済むようにする

事前に用意しておいて、「パニックしてるな…」と思ったら、サッと渡す。
冒頭は、「まず落ち着こうね」と優しく声かけをするような内容にして、興奮を落ち着かせるよう誘導します。
口頭で対応するより、こちらも感情的になりにくく、時間もかからず、効果的だと思います。

どこをどんなふうに探せばよいかを予め書いた紙の図。忙しく対応が困難な朝には、それをサッと差し出す。
例)探し物に取り組むときの姿勢と探し方 https://asdsupporter.blog/

繰り返し記憶させるという意味でも有効だと思います。
パニックに引きずり込まれず、爽やか、ニコやかな朝を過ごせるといいですね。

先ほど、今あるままを眺めるだけの探し方と表現しましたが、探し物が苦手な特性は、目の使い方と密接に関わっているのではないかと考えています。次は、その目の使い方についてお話ししていきます。

ASDタイプは“探し物”が苦手 ~目の使い方が上手くない~

ASDタイプの捜索作業は、探し物が苦手な特性を持たない人からするとちょっと不思議に映るかもしれません。「なんか下手っぴだな。もう少し上手くやれるでしょ?」そんな印象です。

探し物が苦手という特性は、ASDタイプの代表的な特性として挙げられる細部着目に関係しているのではないかと個人的に思っています。
細部着目は、心理的な着目を指すのが一般的だと思いますが、身体的な、実際に見るほうの目についても細部着目の傾向があるように感じています。

身体的な細部着目とはどういうことかというと、対象を見るときに面で見るのではなく、点で見ているということです。わたしの想像ではありますが、下図は、わたしと彼らの目の使い方の相違を表したものです。

フワっと視野を広げて対象を見るイメージ図
わたしの物の見方
小さな範囲を少しずつ見るイメージ図(息子の見方)
息子の物の見方

視野を広げてフワっと目を使えれば、目に入る範囲が広くなり捜索作業の効率が良いと思うのですが、息子たちの場合、図のように小さなスポットに目を向けて、それを一つ一つ潰していくような作業をイメージしている気がします。

息子にとっての「探す」の概念(イメージ)がそうインプットされてしまっているということです。
まるで果てしない戦いのような…そんな難儀な探し方、できなくて当然だと思います。

まず、このイメージ(概念)を塗り替える必要があるのかもしれません。

実際、探し物をしているときの夫の後ろ姿は途方に暮れているように見えます。息子も “探し物” に対して、もはやアレルギー反応を見せるのも、こう仮定すると頷けます。
「探さなくては」と思うだけで、相当なストレスとなり、パニックに陥りやすいのでしょう。

わたしは、学生時代にバスケをやっていたのですが、視野を意識的に広く使う練習をしました。その甲斐あって、息子たちよりは目の使い方が上手くいっているのかもしれないとふと思いました。
具体的には下図のようなトレーニングです。左右の腕を広げ、指をさす。両方の指先が視野の中に入るように意識する。

左右の腕を広げ、指をさす。両方の指先が視野の中に入るように意識することを説明するイメージ図

ビジョントレーニングで、探し物が楽になる目の使い方ができるようになるかはわかりませんが、やってみる価値はある、近々教えてみようと思います。

そもそも失くし物を予防する

探し物が苦手なのであれば、当たり前のことですが、そもそも、失くさない
言うまでもなく、これが何より大事です。

物の住所感覚を持っていることは、物を失くさないためだけでなく、整理整頓においてもとても重要なことなので、我が家では以下のことを定着させるべく、日々継続して意識させています。

失くさないための決め事
  • “物の住所を決める”を徹底(母が準備)します。
  • “元に戻す”を徹底させます。

ただし、定着するには相当に時間がかかることを覚悟してください。
「絶対に繰り返す。それが前提なのだ。」
それを自分に言い聞かせてから実践してくださいね。怒らないように(笑)

物の住所の決め方【例】フック巾着を活用

我が家ではフック巾着を多用しています。

巾着は保管場所(収納)であり、インナーバッグでもあります。
巾着で保管し、そのまま持って出かけるシステム。これが結構上手くいっています。

フックは、収納場所、物の住所です。

なにが入っているかわかる目印付の巾着 × フック(住所)

洗い物は出して、空の巾着をまたフックに戻すように教えます。
洗い終わったら、わたしが巾着に戻します。息子は、持っていくだけ。これを繰り返します。

ここでポイントは、入れる物が書いてあるネームラベルは、巾着の紐の先端に付けるということです。※以下の記事に画像を載せています。よかったら見てみてくださいね。
紐をリボン結びで縛るという行動もあまり期待できず、紐は縛られないままリュックに入っていることも多いので、紐を手繰り寄せてラベルを確認できるよう、先端に付けています。リュックから取り出さなくても物を確認するための工夫です。

我が家はフックにかかってさえいれば、住所は厳密でなくてもよし…という運用ですが、はじめはフック側にもラベルをつけたほうが、お子さんには分かりやすいかもしれません。

物の住所の決め方【例】小箱を活用

また、小箱を活用して、物の住所を示します。

たとえば、引き出しの中にも小箱を設置します。
大きな引き出しの中で、なんとなく物が仕分けされていても、ASDタイプには暗黙のルールは分かりません。箱を入れることで、分かれていることを明確化します。さらに、箱にラベリングします。
靴下、ハンカチ、体操着など。
引き出しの中も住所を明確にしてあげます。

帰ってきて、今日の片づけをするときに、必ずバッグ・リュックの中身を出して、定位置に戻すことも徹底します。これをしないと、明日もまた探し物パニックが繰り広げられますので。
失敗から学ぶことは難しく、信じがたいほど、恐ろしいほどに繰り返されますが、そこは気長にがんばりましょう。

「探す」の概念を刷新すること、意外にこれが重要だと思っています。

探すとは
  • 眺めるように目だけを使うのでなく、手を使って見つけ出すこと。
  • 小さいエリアを見る目の使い方だと、とても大変なので、大きいエリアをふんわりと面で見るようにする。
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