ASDタイプに…教えるポイント、分かりにくくてゴメンなさい!リライトしました!
ASD特性

【実例ブログ】ASD特性 答え合わせ/共同作業ができなかった件

ASDの息子と噛み合わずに困惑と衝突を繰り返す日々でしたが、特性を理解し、きちんとサポートできる母になりたくて奮闘してきました。
これまでの子育ての学びや気付きをこのブログでご紹介することで、同じ境遇の方のお役に立てたらうれしいです。

心理学、脳科学、いろいろと学術的なことを説明してくれる記事がありますが、そういう知識を得たとて、実際に適当なタイミングで活用するのはとても難しいものです。
ASDっ子育て奮闘中の母として、得た知識を活用しきれなかった実例をご紹介しつつ、反面教師として存在意義を発揮できたらうれしいです(笑)

共同作業ができないとはどんな感じ?実際のエピソード

先日、学校の宿泊行事の荷物を最終チェックしていたときのことです。

ひとつひとつ荷物をつめながら、チェックリストにチェックしていこう。
じゃ、母がつめるから、あなたはチェックしてね。

母:つめる ⇒ 息子:チェック ⇒ 母:つめる ⇒ 息子:チェック

そういう共同作業のイメージです。

ところが、「母:つめる」の作業を確認することなく、息子は目についたものからどんどんチェックを書き入れていきます。

母、驚愕!

母

いやいや、そうじゃなくて、お母さんがリュックに入れたものをチェックするのよ。じゃないと意味がないでしょう(怒)?

息子
息子

は?なんで?

噛み合わない事件が勃発です。

臨床心理士に指摘された共同作業をできなかった理由

実は、息子と一緒に確認の上、前の晩には荷詰めは完了していました。
ところが、息子は当日の朝になると忘れ物がないか不安になって、再確認したい衝動にかられます(いつものこと)。
いつもは静観しているのですが、特別な日ですから、パニックになってしまわないよう急遽最終チェックに付き合うことにしました。

息子にとってもその確認作業は予定になかったことで、別の特性(変更が苦手)から、違った意味でプチパニックが起こっていました。

パニックを封じるためのプチパニック。カオスですが…

自分が確認したくてはじめたことだけど、予定外の作業の発生により急がなくてはと焦る気持ちとのせめぎあいが生まれた結果、中途半端な確認作業になってしまったのかな…

くらいに思っていました。

その数日後、臨床心理士さんとの面談があり、この出来事をお話ししたところ、「共同注意(注視)」の問題もあるとのご指摘を受けました。

それをきっかけに、この件について改めて捉えなおしてみました。

共同作業ができない背景にあった3つの特性 答え合わせ

自分が確認したくてはじめたことだけど、予定外の作業の発生により急がなくてはと焦る気持ちとのせめぎあいが生まれた結果、中途半端な確認作業になってしまったのかな…

これが最初の自分で導き出した答えでしたが、今回の件についての答えとしては30点くらいでしょうか。
先生からのご指摘のものの他に、改めてASDタイプの息子の事情(特性)について考えてみると、もう一つの特性があったことに気が付きました。
思い当たった特性は全部で3つでした。では、順番にご説明しますね。

今回の件、一体なにがどうなっていたのか?3つの特性から答え合わせをしていきます。

  1. プチパニックが起きていた(30点の分)
  2. 暗黙のルールが理解できなかった
  3. 共同注意の弱さがあった

特性1.パニック

これについては、前述のとおりです。プチパニックが起きていました。
不安からくる衝動で予定外の確認作業をすることになったが、その作業は予定になかったのでパニックになるというジレンマ。

特性2.想像力の困難

相手の話の言外の情報を想像力で補うような作業が苦手であり、かつ疑問を持ってそれを相手に投げかけるような双方向のコミュニケーションも得意ではありません。
そのため、暗黙のルールが理解できなかったし、確認しようと発意することもできなかったのだと思います。

「母:つめる」⇒「息子:チェック」の流れは、思えば “暗黙のルール” でした。
分かるものという思い込みが母にありました。

ひとつひとつ荷物をつめながら、チェックリストにチェックしていこう。
じゃ、母がつめるから、あなたはチェックしてね。

わたしが何の気なしに言ったこのセリフ。
このメッセージで十分だろうと、感覚的に思っていました。
しかし、息子に伝わったメッセージは、文面通りの以下のようなものと想像します。

母が詰める担当ね。
あなたはチェックの担当よ。

「母:つめる」の作業と「息子:チェック」の作業を交互に行うなんて、一言も言っていません。

母がつめたら、あなたはチェックしてね。

だったら、もしかすると伝わったかもしれません。
でも、あのときの母からするとそんなのは誤差の感覚。
分かるだろうという前提があるから、このような曖昧な指示になってしまったのだと反省しました。

その目的や、もっと具体的な作業内容を説明する必要がありました。

例)どこにしまったのか知らないと探すときに困るから、お母さんがつめるところをちゃんと見ていてね。お母さんがリュックにつめるのをキミも確認すればダブルチェックになるしね。さらに、その直後にチェックシートにチェックマークを書き入れれば、完璧だから、もう不安にならないよね。

といった具合の説明です。

特性3.共同注意の弱さ

共同作業が成立しなかった背景には、もう一つ、「母:つめる」の作業を息子が見る(注目を向ける)だろうというわたしの読み違いがありました。

共同注意とは、対象に対する注意を他者と共有すること。

これを日常レベルで理解できるよう、一言で説明するのはかなり難しいので、専門機関の情報を検索してみてくださいね。
ちなみに、以下も共同注視の困難の例です。

今回の件でご説明すると…

荷物を詰める ⇒ 母と息子ともに、リュックにつめる荷物に注意を向ける
荷物のチェック ⇒ 母と息子ともに、チェックシートに注意を向ける

これが共同注意ということのようです。

この共同注意が母子の双方に機能していれば、母の「タオルをつめたよ」などの口頭報告がなかったとしても、母の「つめる」作業に目を向けることで “完了したかどうか” の情報を得て、次に自分の担当作業(チェック)に移行することができるということです。

非言語的な、視覚によるコミュニケーションということですね。
教えられるものではなく、発達段階で各自が獲得していくスキル。
ASDタイプは空気を読むのが苦手ですが、こういった非言語的な情報キャッチが苦手だからなのですね。改めて実感しました。

【まとめ】わたしの後悔と同じ後悔をしないでと願って止みません

いろいろと調べてみると、共同注意については、幼少期の親の関わりで発達に良い刺激を与えられるようです。
共同注意に限らず、幼少期から親が特性を理解して適切な対応をできていたほうが子どもにとってメリットが多いのは言うまでもありません。
わたしがもっと早く息子の特性に気づいて、そして専門機関から知恵を授かっていたら、違っていたのだろうな…。もっとフランクに、子育てについて相談できる機関に出向いてみればよかったな…と今つくづく思います。

正直、大きな大きな後悔です。

悩んでいたこともたくさんあったし、わからないことだらけだった。

でも、そんなのは子育てあるあるなのだろうと思ってしまっていたので、そこに自分の認知していない特別な事情が隠されていたとは思いもしなかったこともありますが、もっと積極的に専門機関から情報収集するべきでした

この記事を読んでいらっしゃるのが、まだ幼児期のお子さんを持つ親御さんだったら、悩みや困り事があるなら、ぜひ地域の相談窓口などに気軽に相談に行ってみてほしいと思います。
発達特性の有無に関わらず、情報を得るのは親子双方にとって有益だと思います。

後悔先に立たず。後悔した者からのメッセージでした。

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