今回は「他者や経験から学び取ることが難しい」というASDタイプの特性(特徴)について、日常生活の中での3つの実例について図などでなるべくわかりやすくご紹介していきたいと思います。
ちなみに、この特性は別の記事に記載した「創意工夫が難しい」の親戚のようなものです。
診断されたときに、医師から息子の特徴のひとつとして以下のような説明を受けました。
「定型発達の人なら難なく発想できる、ちょっとした気づき、工夫などになかなかたどり着かない。視点を変えるのが難しい。見よう見まねが難しく、定型の人からすると信じられないようなことでも、一から教えてもらわないとこなせない。定型の人が無意識にこなすレベルに至るには、様々な努力が必要な場合がある。創意工夫の創意が難しい。」
【ASD特性例】“学び取る”は難しい ~概念説明~
学び取る?例えば?と思いますよね。
具体的にどういうことなのか理解しやすいと思いますので、“学び取るのは難しい”特性を、いろいろと言い換えて表現してみますね。
“学び取る”は難しいというのは例えばこんな意味です
- 見よう見まねで学び取ることは難しい。
⇒同じくらいの月例の子が知っていることを知らないということが往々にしてあります。 - 暗黙のルールは通じない。
⇒感覚的に習得するような、親としても「教えよう」と発意すること自体が難しい、感覚的に習得するジャンルのことは理解していない場合が多いのも特性です。 - 教えてもらっていないことについては対応できない。
⇒「そんなの考えれば分かるじゃん」は通用しません。
【ASD特性例】“学び取る”は難しい ~エピソード~
生活レベルの情報がないと、把握しづらいと思うので、具体的な我が家の実例をもとにご説明していきます。
ちなみにASDご本人向けの記事ですが、暗黙の了解を説明する情報を少しずつアップしています。以下も教えてもらっていないことはわからないエピソードのひとつといっていいかもしれません。
では、学び取るのがどのように難しいのか、実例で見ていきます。
【困難 例1】荷
「もっときれいに入れなさいよ。まったく。。。」
小学校は近所だったので、両手に荷物をブラブラさせている息子を特に問題視しておらず、きちんと収納するための具体的な方法を6年間教示することもなく終わらせてしまいました(汗)(汗)
本当は小学校入学のときに、丁寧に手取り足取り教えてあげなければいけなかったのだと反省しています。教えてあげない限り、我が家のように知らないまま、できないままで6年が終わってしまいますので、ご注意ください。
中学生になると荷物がとても多いのですが、電車通学になったこともあり、両手にブラブラ荷物を持たせるわけにはいかず、きちんとリュックに収納する必要があります。
合理的に荷物を収納することができない息子の課題にわたしは今さらながらに気が付きました。教えられていない息子は、とにかく強引に詰め込むという方法しか採れていませんでした。それに対して叱ってしまったりしていましたが、本当は完全に教えていなかったわたしの落ち度です。
なにも考えずに詰め込んでいるので、当然、小物を探し当てるためにパニックしたり、一時間目の体育着を引っぱり出すために中身を全部ひっくり返したりすることになります。
そして、そこに問題点があることにも気付かないので、改善策を講じることもありません。
親は、いつか学び取るだろう…とは決別しなくてはいけないのです
どういう方法が望ましいかを理屈とともに丁寧に教えてあげる必要がありました。
【困難 例2】道具の使い方
比較的最近のできごとなのですが、スプーンの先端で米粒を集めている息子に気が付きました。
「なぜスプーンの先端で??」と改めて違和感を覚えました。
幼い頃に、「こうやって食べるんだよ~」とお手本を見せた記憶はありますが、確かに事細かにスプーンの形状と適した使い方について説明をした覚えはありません。なんとなく毎日食卓をともに囲むうちに見よう見まねで覚えていくような感覚で過ごしてしまっていたのです。
そういう盲点のようなことが日常に転がっています。教えてあげないことは、知らないまま時を過ごしていくものと肝に銘じる必要があります。
【困難 例3】靴下のマーク
ブランドロゴなどのワンポイントのある靴下を中学になってはじめて買い与えました。ふと足元を見ると、マークが内側に来てしまっていました。
マークが内側にきちゃってるよ。
え?ダメなの?
おっと。そうきたか。
暗黙のルールで、マークが外くるぶしに来るように着用しますよね。
でも、暗黙のルールですから、教えられていない息子は知らなかったのです。
もう中学生だし、ついつい学び取っていそうな気がしてしまうのですが、そうは問屋が卸しません。お気をつけくださいませ。
日常生活で必要性の高くないルールはなおのこと盲点になりがちです。
我が家の実例でご紹介しました。学び取るのは難しいというのが具体的にはどういう感じかお分かりいただけたでしょうか。
学び取るのが難しいASDタイプは、一般的に教えてもらわなくても気が付いたら学び取っている常識とされるような類のことを知らない。これを念頭に置いて教示漏れのないよう注意してくださいね。
以下、ASD本人のための記事ですが、それがどんなものなのか?が少し分かると思います。よかったら、ご参考までに。
まとめ
学び取ることが難しく、教えてもらっていないことには対応できないという意味がハッキリと分かった今、日常の様々なことを経験させる必要性の高さを痛感しています。
お手伝いをさせるなどして、日常の“やったことがある”“知ってる”をとにかく増やす。 失敗が許される子どものうちに、いろいろと体験させる。
うちは息子が中学生になってしまっているので、少々焦りがありますが、お子さんが小さい場合は、“やったことがある”“知ってる”を増やしてあげてください。
これまでの子育ての学びや気付きをこのブログでご紹介することで、同じ境遇の方のお役に立てたらうれしいです。