パニック(癇癪)は、わたしにとって対応するのがいちばん難しいASD特性(特徴)です。
今回は、このパニックについて、起きる背景になにがあるのか、どんな風に特性を理解して対応してあげたら子どもにとってよいのか、わたしの考えをお話したいと思います。
【ASDあるある】パニックの理由 ~背景にあるもの~
息子のパニックは、一般的なイメージとは少し違いました。
わたしの中のパニックは、例えばのび太がドラえもんに泣きつくときのような、困り感が全面に出ているイメージでした。
ところが、そのイメージと息子のそれはあまりに乖離しており、パニック(困っている)として受け止めるまでに時間が必要でした。
うちの子の場合、パニックは、一言で言えば、イライラしているようにしか見えません。
できないことに腹を立て、イライラをすべて口に出し、動作がものすごく雑になります。
見ているこちらも不愉快になり、つい負のスパイラルへと巻き込まれてしまいます。
パニックが起こるのは、多くの場合は、
“何かができないとき” です。
そして、できないことについて
困っている自分を認識することが困難なために、助けを求めようと発意することもできないからです(どうしてもできないことに、なすすべもないまま挑み続けようとしている状況)。
教えてと言えるのは、その手前で、困っている自分を自覚することができるからなのです。
例えば、先日のことです。
荷物が届き、子どもの物だったので、つい不用意に『開けてごらん』と言ってしまったのですが、彼が開け方を知っている昔ながらのダンボールと、最近のAmazonのダンボールはちょっと勝手が違っていたのです。Amazonのそれが独特の形状=開き方だったために、想定外の事態に発展しました。
教わっていないことをやってごらんと言われ、やってみたら案の定できずに、ご多分にもれずパニックになるという事態です。
その後はイライラして、すべての行為が雑になり…
それはわたしの目にはひどく態度が悪いように映り、わたしにもイライラが伝播してしまいました。
ちょっと違うことに対応できないのは、これまでの経験と類似するものを脳内で検索し、それをもとに応用するということが困難だからです。そして、困難からパニックに陥るのです。
以前に書いた、”創意工夫が難しい”という特性とリンクする特性です。
【ASDあるある】パニックとの付き合い方
後になってみれば、あれはパニックだったのだとわかるのですが、そんなことで、そんな風になるなんてとわたしが予測・対応できていないとき、パニックに拍車がかかってしまいます。
わたしには些細なことも、息子にとっては一大事なのです。
大変な困り事であり、辛いのです。
なんかできない!!!
どうしてなの?!!!!
イライラと怒りを爆発させているように見えて、本当は悲しくて、とても困っているのです。
この怒りを心理学で二次感情というそうです。(”アドラー 二次感情”で検索してみてくださいね)
たとえば、こういう感覚なのだろうと想像します。
わたしはブログをはじめて間もないのですが、CSS(プログラムのようなもの)をほんのちょっと触っただけなのに、なぜ表示されなくなった??!!!なぜ直らない?!!!意味がわからん!!!ということが起き、とてもイライラします。
まさに、意味がわからないので、手の打ちようがないという感覚です。
たぶん、それが日常的に頻発しているのだろうと。
そう考えると、息子の辛さが少し分かる気がしました。
新しいことにトライさせる子育ては決して悪いことではないと思います。
でも、パニックになることを想定の上で、パニックになったら即座に“大丈夫だよ”と優しく対応できる準備が親にないとき、ASDっ子にトライさせてはいけないのだと思います。
できなさそうなら、すぐに教えてあげる。
トライすることに抵抗感を持たないくらいにトライさせるという感じでしょうか。
イライラ、ブツクサ、ドタンバタンが始まったら、
『どうした〜?』
『困ってるんだね。そういうときはどうするとよいかな?』
と優しく声掛けするのがきっと正解です。
- 困ってるんだね。
⇒気持ちの把握が苦手なので、代わりに言語化してあげて、感覚にラベリングしてあげる。
⇒『あぁ、僕は困ってるんだ』と認識させる。 - どうするとよいかな?
⇒困っているとき、次になにをするとよいかを考えさせます。
⇒言い方、トーンは優しく!が鉄則です。なんでできないの?という批判めいた含みや、教育的指導(圧)はいりません。
わたしが繰り返し好ましく対応することで、イライラしなくても、普通に『教えてほしい』ことを伝えれば解決することをインプットしていけるのだと思います。
のび太ほど他力本願なのは困りますが、「ドラえもぉぉぉ〜ん」と上手に泣きつくことができるのは、この先、生きていく上で重要なスキルですよね。
ダメな母は、備忘録として、自戒の念をたっぷりと込めてブログに記します。
これまでの子育ての学びや気付きをこのブログでご紹介することで、同じ境遇の方のお役に立てたらうれしいです。