東京都が首都直下地震の被害想定を10年ぶりに見直しましたね。
今回は、本当にいつきてもおかしくない大地震についてのASDっ子のための備えについてまとめていきたいと思います。
for ASD 地震災害への心がまえ
言わずもがなですが、予測のできない自然災害への対応はASDタイプにとって究極的に難しい課題です。
息子は私立中学に通っているのですが、入学前、母であるわたしはとても不安を感じていました。この子が、通学途中一人でいるときに地震に遭ったら、果たしてどうなるのだろうか…心配で心配で仕方ありませんでした。
他の記事で、ASDタイプの“変化や変更が苦手な特性”についてご紹介していますが、それは突発的なことに臨機応変に対応することが困難だということも意味します。また、周囲をよく観察して情報収集し、未曾有の事態に冷静に状況判断することも最難関課題と言えるでしょう。通学途中の一人のときに地震に遭ったらと想像するだけで胸が苦しくなります。パニックになってしまったらどんなに辛いだろうと。
とはいえ、家に囲っておくわけにも行かないですし、考え得る対策を講じるしかないと腹を括りました。
【実例】我が家の地震対策(初期版)
中学入学のタイミングで、地震が発生した場合にどうしたらいいのか?を記載した地震発生時のガイドブックのようなものをつくり、毎日持ち歩くよう言いつけてありました。
見返してみたところ…心配のしすぎで、与えた情報量が多すぎでした。
軌道修正はマストです(汗)
以下、そのガイドのようなもの一部抜粋です。内容は悪くはないと思うのでご紹介します。
地震発生時のガイド(発生直後 編)
例) 駅のホーム
- 体勢を低くして、頭をリュックでガード
- 停車中の電車があれば車両内に避難する
→ 車両は頑丈な造りで、飛来落下物からの危険を避けることができる - 電光掲示板等の構造物から離れ、落下によるケガをさける
- 自動販売機から離れ、下敷きになることをさける
- ホームの端から移動し、パニックになった群衆に突き落とされることを避ける
- 慌てて出口へ向かうのは危険。駅員・係員の指示に従って冷静に行動
例) 電車の中
- アナウンスに集中して情報を聞き逃さない。聞き逃したら周りの人に、アナウンスがなんて言っていたかを聞く。
- 体勢を低くして、頭をリュックでガード
- 電車やバスでは、揺れを検知すると直ちに停止することになっており、急ブレーキになる場合もあるから、立っている場合は、手すりやつり革をしっかり握って転倒しないようにする。座っている場合は、上体を折って胸と太ももをつけるように姿勢を低くして頭をバッグなどでガードする
例) エレベーター内
- 行き先階のボタンをすべて押す
→ 揺れを感じたら、すぐに行き先階のボタンをすべて押し、最初に停止した階で降りる - 自動的に最寄り階で停止するエレベーターの場合は、扉が開いた階で降りる
- 万が一閉じ込められたら、非常用のインターホンで通報して救助が来るのを待つ
※ 地震発生後にはエレベーターには絶対に乗らない。閉じ込められたら助けがすぐに来るとは限らないから。
例) 街中
- 体勢を低くして、頭をリュックでガード
- 丈夫そうな建物の入口付近で、飛来落下物等から身を守る
《飛来落下物》:屋根瓦・ガラス・看板
《転倒倒壊物》:ブロック塀・門・自動販売機・電信柱 - 閉じ込められるのを避けるために、入口付近にいること
- 危険だから慌てて車道に出ない。
※コントロールを失った自動車が暴走してくるおそれがあるから - 揺れが収まったら、近くの公園などの近くに建物がない場所に移動する
- 切断してぶら下がっている電線に触れない
以上、地震発生直後編でした。揺れがおさまった後編、避難場所情報…と続きます。情報テンコ盛りの力作(汗)
改めて確認すると、これを常備させるだけでは有効な対策ではないと、つくづくしみじみ思いました。
【実例】我が家の地震災害対策について、見直してみました。
【見直し後】我が家の地震対策プラン全体
日頃から家族みんなで防災の話をして、意識合わせをしておくことが重要だと気づきました。
例)地震対策プラン
- 携帯させる地震発生時のガイド情報は最小限にする
絶対に必要と思う情報に絞り込んで、定期入れなどの毎日必ず持ち歩くものに折りたたんで入れておく。 - 月1で防災会議を開催する
毎月1回、防災の日を設けて、家族で意識合わせをする。そのときに、先ほどご紹介したような細かな防災知識を家族全員で確認共有し、見なくても分かっている状態にしていく。はじめは週1のほうがいいかもしれませんね。
親が教えていないこと、学校で習っていないことは、知らない、対応できないことを肝に銘じて、スラスラと人に説明できるくらいに地震災害時の知識を入れるのを目標にすることにしました。
【見直し後】地震対策用の必携情報
必携情報は、以下のように見直しました。
例)携帯させる情報
- 氏名
- 血液型
- 生年月日
- アレルギー・既往症など
- 父母の携帯番号(意識がないときなどに救護者に見てもらうため)
- 学校名
- 通学路付近の避難場所の情報
- 集合場所 ※家が焼失した場合など
- メッセージ
※危険な中で無理して家に帰ろうとしないこと。安全第一。生きていれば会えるから。
※学校に近ければ(○○線にいたら)学校に戻る。○○線にいたら避難場所に行く。※移動は揺れがおさまってから。
※スマホをむやみに使わないで充電をとっておく。本当に必要な連絡以外に使わない。
※優しそうな大人に助けを求める。子どもがいそうな人がよい。もしくは警察官、消防隊員、駅員など。 - 徒歩での家への帰り方
学校と家を結ぶ目印として一番分かりやすいのが○○川だよ。まずは○○川を目指す。その後は川の土手を歩いて帰ってくる。※ただし揺れが完全に収まって、安全が確認できてから。
ちなみに、ご参考までに。避難所と避難場所は違うのをご存じですか?
避難所とは
災害により自宅での“生活が困難”になった地元の住民が優先となるため、基本、帰宅困難者は受け入れてもらえない。
避難場所とは
延焼火災や津波などから迅速に身を守るために避難する場所。
ほかにも帰宅困難者用の支援施設があるようです。お住まいの自治体の情報を予めチェックしておかれるといいと思います。
【実例】ASDタイプの我が子特有の備えておくべき物
例えば、ストレスなどにより不安神経症のようになることがあり、潔癖さが短期的に急激に強まることがあります。手をちゃんと洗えないとパニックになってしまうこともあるので、消毒液などの代替手段を準備しておかなくてはいけません。避難所に行くことなども想定して、我が子特有の備えについて、あれこれとシミュレートしておく必要があることにも気が付きました。
例) 息子特有の備え
- 肌着:感覚過敏対策。いつもの肌ざわりじゃないと苦痛なので。
- アレルギー薬など
- 耳栓:音の過敏もあるので、必要かもしれません。
- マスク:におい(過敏)への対策、アレルギー対策
- 入眠のためのスプレー:におい(過敏)への対策。好きな匂いでごまかすため。
地震で起こりうることを事前にシミュレートし、その対応を教えておくことは親の責務だと改めて思いました。教えておいたとしても対応できる確率が高くないことは承知の上ですが、でもまったく備えていないよりはパニックの度合いを軽減できると信じています。
なにより地震災害が起こらない、もしくは家にいるときであることを心底願います。
ASDっ子のための、地震災害への我が家の備えについてご紹介しました。お役に立てたらうれしいです。
これまでの子育ての学びや気付きをこのブログでご紹介することで、同じ境遇の方のお役に立てたらうれしいです。