今回は「自分なりに考えて工夫することが難しい」という特性について、生活レベルの具体例とともに綴っていきたいと思います。
診断されたときに、医師から息子の特徴のひとつとして以下のような説明を受けました。
「定型発達の人なら難なく発想できる、ちょっとした気づき、工夫などになかなかたどり着かない。視点を変えるのが難しい。見よう見まねが難しく、定型の人からすると信じられないようなことでも、一から教えてもらわないとこなせない。定型の人が無意識にこなすレベルに至るには、様々な努力が必要な場合がある。創意工夫の創意が難しい。」
【ASDあるある】“創意工夫が難しい”とはこういうことです(実例)
特性を以下のように言い換えて表現すると、具体的にどういうことなのか理解しやすいかもしれません。
- 毎日続くルーティンだとしても、自力ではほぼ進歩するということがない。
⇒「そんなの考えれば分かるじゃん」は通用しません。 - 応用がきかない。
⇒「そんなの経験から分かるじゃん」は通用しません。
日常の様々なやらなければならないことについて、ライフハック的に知恵を授けていく必要があるということです。
【ASDあるある】“創意工夫が難しい”の『実例』
実生活で創意工夫ができないことで生じる困り事のイメージを掴んでいただくために、具体的なエピソードを以下にご紹介します。
ASDっ子は創意工夫が難しい【例1】複数の荷物を運ぶ工夫は思いつかない
例えば、たくさんの荷物をどうやったら全部いっぺんに運べるか?という視点を持ちづらく、帰宅して荷物を自室に運ぶというルーティン作業でも、放っておけばいつまでたっても進歩しません。
毎日、荷物を運ぶために何往復もしてしまいます。
リュックに加えて複数荷物を持ち運ぶ必要がある場合、例えば、“リュックは背負ってしまえば両手が空く”ことを伝えないと気づきません。他の荷物と同様に手で持って運んでいたりします。
また、細々とした物も手にもって運ぼうとするので、当然持てる数に限界があり、何往復もする姿を何度も見ました。
では、どうやったら効率的なのか?の教え方を具体的にお伝えします。
ASDっ子は創意工夫が難しい【例2】食器を安全に下げるコツを模索することはない
食べ終わった食器を下げるとき、箸を何度落としても、自らは改善しようと思いません。
怒るだけで、教えてあげないと、毎日繰り返すことになります。
「たくさん運ぶときは落としてしまうものなのだ。仕方ない。」もしかするとそんな風に解釈しているかもしれません。
ASDご本人向けの記事ですが、暗黙の了解を説明する情報を少しずつアップしています。
以下、創意工夫のエピソードの一つといっていいかもしれません。
まとめ ASD子育てのきほん
“創意工夫が難しい”のは、息子の場合はイメージする力、視点を変えて発想する力の弱さから来ていると思います。
自分が最初に考えついた方法の他に、何かもっと良い方法はないかな?と視点を変えて検討することが苦手なのです。つまり様々な方法を検討するという発想が生まれにくいのですが、あれこれ検討することで得られるベネフィット(もたらされる恩恵)を実感すれば、少しずつでも “方法を検討しよう” と発意するようになるのではないかと思っています。
目の前の課題について、どう対処するのがより効率的・合理的かについて、小さな頃から親子で楽しくアイデア出しをしながら遊び感覚で、創意工夫をすることのベネフィットを伝えていけたらよかったなと思います。
荷物の運び方でいうなら、『いつもより速く運び終えられると、いつもより早い時間にゲームが始められるね!』と伝えるなど、自分にとって価値があることなのだとイメージさせることが成長のカギなのだと思います。
我が家、特性に気付くのが遅かった上に、受験したこともあり、こういった日々の小さな教示を積み重ねてあげられなかったことを悔やんでいます。実はとても大切なことです。
小さな頃から、創意工夫のベネフィットを実感して、自ら意欲して少しずつ習得するのが理想的だとわたしは思います。
”考えれば分かるでしょ” ”経験から分かるでしょ”は、子どもの心を傷つけます。
”考えれば分かるでしょ” ”経験から分かるでしょ”は、封印する決意を。
優しく、丁寧に、教えてあげてくださいね。
これまでの子育ての学びや気付きをこのブログでご紹介することで、同じ境遇の方のお役に立てたらうれしいです。