ASDタイプに…教えるポイント、分かりにくくてゴメンなさい!リライトしました!
ASD子育て

【実例ブログ】ASDっ子と姿勢・身体のカタチについて

ASDっ子の子育てに関して、これまで色々な心境の変化がありました。
はじめは、特性を治す、つまり特性を消す視点で色々と模索していたように思います。

今は、特性は個性のようなもので、消すものではなく、お付き合いしていくものと捉えています。
でも、だからといって、何もしないというのはやはり違うとも思っていて、少しでも生きやすく、楽にしてあげられたらいいと思っています。してあげられることがあるなら、何でもしてあげたい気持ちは今も変わりません。

これまでに情報を得ようと手にした本がいくつかありましたが、別の記事でご紹介した通り、わたしには読みの困難が少々あります。1冊の本を読了するまでにかなりの日数を要するため、初めの頃に読んだ内容を忘れてしまうなど、接した情報をうまく吸収・活用しきれず、良書と出会っても、宝の持ち腐れでした。

それが、読みの困難の攻略法を偶然知ってから、本(デジタル書籍)を通して効果的に情報収集できるようになりました。

そして、つい先日、以前に読んで消化しきれなかった本を読み返すきっかけとなる出来事に遭遇しました。

今回は、

  • そのきっかけとなった出来事の話(特性が身体のカタチに現れる?)
  • ASDタイプの姿勢・身体のカタチ(我が家の実例)
  • 『自閉っ子の心身をラクにしよう!』という本のこと(栗本啓司 (著),花風社)

について、お話させていただきます。
まずは、その本を読み返すことになったきっかけのお話から。

ASDっ子の特性は、姿勢・身体のカタチに現れる?

最寄り駅の近くに特別支援学校があるのですが、通りかかったその時がたまたま登校時間だったようで、たくさんの生徒さんをお見かけし、あることに気が付きました。

あれ?みんな姿勢(身体のカタチ)が同じだな…

不思議に思うと同時に、以前に読んだ『自閉っ子の心身をラクにしよう!』という本のことを思い出しました。そのお子さんたちの姿勢が、その本に描かれた “自閉っ子によく見られる姿勢” を説明する挿絵(表紙右上の絵)と重なったからです。
そのお子さんたちが自閉症持ちであったかは、もちろん知るところではありませんが、少なくとも5人はほぼ同じ姿勢でした。脳の特性と姿勢には、やはり関係があるとしか思えませんでした。
どんな内容だったのか、記憶が定かではなかったので、急いでその本を読み返しました。

“自閉っ子によく見られる姿勢” とは、体幹の上に頭が乗っておらず、首が前に突き出し、足先に重心を乗せて後ろに突っ張ることでその分のバランスをとっているような格好です。

この本には、そういう姿勢になる原因や、その影響が書かれていました。内臓や関節の発達にまで影響を及ぼす場合があるようです。

悪い姿勢、つまり負担がかかった身体が脳に負担をかけ、脳の負担がまた身体に影響を与えるという、負のループに入ってしまう

ということ。だからASDタイプの身体へアプローチして、まず身体を楽にしてあげることで脳への悪影響を緩和し、少しでも良いループに変えていくということなのだと理解しました。

姿勢と脳のつながりは世に知られる話ですので、その内容に納得するとともに、心身が楽になるように、息子を少しでも良いループに向かわせてあげたいと、改めて姿勢について考えるようになりました。

次に、現在の息子の姿勢と身体のカタチについて、具体的にお話しします。

ASDタイプの息子の姿勢と身体のカタチ

発達特性がある人は姿勢を保つことが難しい場合が多いようで、小学生の頃、授業参観に行くと、始終クネクネして、確かにまっすぐに座っていることが難しそうな様子が息子にも見られました。

現在の息子は、立ち姿でいえば一見問題がないように見えます。基本的にはふつうの姿勢です。
ですが、歩き方がちょっとおかしいことが、小さい頃から気がかりでした。
片足が内股で、足の重心もおかしいこと(つま先重心)が見て分かります。全体としては挿絵ほどには特殊なカタチではないのですが、足元のカタチは挿絵の様子に似ていると思います。

この本によると、足首から下の部分は人の土台であって、人体を健康な状態に保つのに極めて重要なようで、親としては改めてとても気になりました。また姿勢が良くない状態は、睡眠や排せつなどに悪影響をもたらすとも文中で説明されています。

確かに息子には小さい頃から今に至るまで睡眠に関する様々なトラブルがありました。

乳幼児期は息子の特性に気付いていなかったのですが、中でも入眠がかなり困難でした。昼夜問わずです。眠れたときは調子が良いのが目に見えて分かったので、ちゃんと寝かせてあげたいと思い、試行錯誤していました。

そして、息子が2歳くらいだったでしょうか、独特の寝かしつけ方を編み出しました。

月齢3カ月くらいの頃に助産師さんから教えてもらった「タオルケットなどで身体をグルグル巻きにする」赤ちゃんの寝かしつけ方を思い出し、試しに手と脚で羽交い絞めのようにしてみました。グルグル巻きに匹敵するくらいしっかりとホールドするイメージです。
すると信じられないことにストンと眠りに落ちたのです。以来、傍からみたら虐待のようですが、眠さの限界を超えて歩き回る息子を羽交い絞めにして、よく昼寝させていました。

実は後に、アメリカの動物学者でテンプルグランディンというASD当事者の方がお書きになった本の中で、その方も身体をギュッと拘束されると気持ちが安らぐとおっしゃっていて驚きました。ご自身で “締め付け機” なるものを開発されたほど、その締め付けの効果が絶大だったようです。不思議ですが、これも特性ゆえのものなのでしょうか。

前回『自閉っ子の心身をラクにしよう』を読んだ後に、整体やカイロプラクティック等に足を運んでみたのですが、これといった効果が得られないまま、息子の受験準備のため、身体のカタチを整えることは道半ばで断念しました。

中学生になった今、息子は頭痛に悩まされており、医師によると睡眠の質が良くないことも原因のひとつだということでした。睡眠の質を向上させられるなら、身体のカタチを整える試みをしてみたいと思いました。

そういう訳で、再び息子の身体のカタチを整えることに向けて今動き始めています。
計画が進行したら、また記事をアップしようと思います。

そういえば、やや特性ありと自覚している自分にも、この姿勢に思い当たる節がありました。

特性ありの母の姿勢

わたし自身、選択的注意に難があり、聴覚、視覚の両方の情報取得にやや困難がある等、発達特性ありだと自覚しているのですが、子どもの頃の自分もやはり挿絵に近い姿勢でした。
首が前に出た猫背で、前重心。挿絵のフォルムに近かったと思います。ずっとそのことにコンプレックスを抱いていました。

難なく無意識にできる人には分からないと思いますが、正しい姿勢や歩き方は、どうすればそうなるのかがわたしには皆目見当もつかず、子どもの頃から試行錯誤してきました。歩き方を自分なりに工夫していた頃、変な歩き方だと両親に笑われた記憶があります。上半身と下半身が連動していないような不自然な動きだったようです。

他人の美しいカタチを真似ようとするのですが、特性ゆえか、視覚からインプットしたカタチを自分で再現することが簡単ではありませんでした。ボディイメージが弱いこともあるのでしょうか。

また、正しい姿勢を維持するためには、まず体幹がちゃんと軸になっていることが重要だと思いますが、わたしの場合は自分の体幹を掴めておらず中心の力が抜けているがゆえに、四肢の様々なところに力を入れて、不自然にバランスをとっているような状態でした。

首が前に、肩を必要以上にいからせて自転車を漕いでいる高齢者の姿をよく見かけませんか?理学療法士から聞いたことがあるのですが、あれは、老化により腹筋背筋が弱まったことで、力みが生じている高齢者あるあるだそうです。
それを聞いた後、体幹にちゃんと力が入っていると四肢には無駄な力が入らないことを実感し、日常的に気を付けています。実際、首・肩の凝りが軽減されました。

とはいえ、理屈は分かっても、胴体を軸に据えてまっすぐに保っていることが難しいのは今も変わらず、意識しないとまっすぐのままではいられません。気を抜くとすぐに首が前に出て姿勢が崩れている自分に気が付きます。

そして、わたしの試行錯誤は今もなお続いています。
立ち姿、歩き方、どこをどうすれば正しくなるのか、まだまだ模索中です。それでも以前よりはきれいなカタチを維持することができるようになったのではないかと自分では思っています。

ASDタイプの身体へアプローチする【参考書籍】について

改めて読んでみると、ご紹介した『自閉っ子の心身をラクにしよう!』には、家庭で実践できる身体へのアプローチが色々と掲載されていました。
受験に追われて仕方なかったとはいえ、小学生のうちにもっと色々とやってあげられたらよかったなと後悔しています。

この本の出版社(花風社)から、発達障がいに関する本が他にも多数出版されていて、数冊読みました。

なぜか出版物のほとんどが対談形式のようで、編集者が登場します。対談の進行が整理されている印象は正直あまりなく、他の人の話はいいから著者の話をもっと聞かせてほしいなぁ…という場面がちょいちょいあります。

他にもいくつか興味を惹かれる本がありつつも、対談形式が引っ掛かって、この出版社の本になかなか手を出せずにいることを正直にお伝えしておきたいと思います。

ですが、今回ご紹介した『自閉っ子の心身をラクにしよう!』は、著者の発言部分はとても参考になる内容で、おすすめできます。対談形式に目をつぶって、著者の話にのみ耳を傾けると割り切ってお読みいただけるといいと思います。

また、ご紹介した本の推薦者でもある、神田橋先生(精神科の医師)もこの出版社から本を出されており、同じく対談形式ですが、この先生のお考えも大変参考になります。

お二方ともに共通するのは、身体へのアプローチを重視されていることです。

現在の医療には、発達特性、つまり脳に積極的に働きかけるような術はなく、療育などのアセスメントはあっても、ほぼ自助努力の域を出ないのが現実だとわたしは感じています。
そんな中で身体へのアプローチが、当事者が少しでも楽になれる、光明になってくれることを願っています。
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